赤い髪に赤い服。
どうしても惣流や式波で始まる女の子のことを考えてしまうが、
撮影が終わって下書きをしている間中、私の頭の中では
"Girl From The North Country" を歌っている
若い頃のボブ・ディランの声がしていた。
(続き)
最初の内は、窓に垂らした布で残照を遮っていた。
どうしようもないような内向きの気分の為せる技。
Please see if she's wearing a coat so warm
To keep her from the howlin' winds
とか
Please see for me if her hair hangs long
For that's the way I remember her best
といったようなフレーズを検索して、
やっぱりこの頃の歌詞が好きだなぁと考えていた。
それでも、この歌詞の魅力が何だか色褪せたように感じた時期があって、
そのきっかけになったのは飲み会での以下のようなコメントから。
「いい気なもんね」
「本当に気になっているのなら、人に頼まず自分で行くはず」
「いつまでも同じ髪型なんかでいるわけない」
言われてみたら、なんとなくそれが正しくて、
男の身勝手な感傷だったように思えてくる。
同じく、「サンキュ.」の歌詞の中で、
髪切るならつきあうよ って言っているのは男友達じゃないんだな_と驚くと
そんな聴き方している人、初めて会った ああ可笑し と笑われたことも。
笑われて、随分凹んだという20年以上も前の記憶なのに
思い出してみたら、今日の気分が少しばかり軽くなった。
震災前後の記憶だから
いろんな厭なことが挟まってくるのだけれど、
若い女性の、気の強い、現実主義的な物言いの記憶は
なんだか楽しい思い出に変わっている。
しかし、一緒に髪切るような、とぼけた男友達は本当に有り得ないのかな。
何処かにいても、いい気がするし、
Remember me to one who lives there
For she once was a true love of mine
そう誰かに頼んでみたくなるのも
やっぱり分かる気がする。
私なら、誰に頼むのか考え始めると、
誰というあてはなく
結局独り言として読むのが自分には一番相応しいように思えてくる。