ひょっとしたら梅雨入りなしに夏が来てしまうのでは。
面白いような不吉なような
そんな気分で過ごしていたが、この日、午後から、漸く梅雨入りの声を聞いた。
この後、何事もなく、季節が移っていきますように。
(続き)
100cm の球体関節人形。
等身大サイズとは言えないのかもしれないが、片膝を立てて寝転びながら
窓を見上げている様子。
いつの間にか、こんな女の子と
一つの部屋の中で過ごしていたように思えてくる。
窓の明かりを頼りにして、古いペーパーバックを読んだり、
窓硝子の向こう側、靄で霞む近所の屋根や流れ落ちる雨粒を目で追いながら
時折、彼女が身動ぎする微かな音を聞いている_
そんな日常を思い描いていた。
なかなか理解してもらえないが、大きな人形の便利なところは
既製服を充てることができるため、着せ替えに困らないこと。
今日のこの子は、着せたままにしていた 110cm キッズ用ブラウス、
レースやリボン飾りが雨の日らしい陰翳を作っていて、
着せ替えはまた今度_ということにしてしまったのだが…。
気持ちに少しばかり余裕が持てた昼下がり。
待ち望んでいたわけでもないのに、静かに雨の降る様子が好ましい。
お馴染みや、恒例の、
月並みなものが持っている揺るぎない魅力を
改めて知った気がした。