(続き)
前の記事 "Yuzuki: My day has passed." の続編。首の傾きを変えたに過ぎないのだが。
ショートボブの髪が垂れ下がる様子に心惹かれる。
昼前の南の窓。光は主としてその一方向から。比較的明るい室内だが、好みの明るさと翳が生まれるように遮光カーテンを加減している。
静かな室内で美しい人形と向かい合いながら、いろんな人の顔を思い浮かべる。暫く会っていない人や亡くなった人。実在の人物の場合もあれば、物語の中の美しい人であったりもする。生きている人であっても、私が会いたいのは現在のその人ではなく、50年近く時間を遡った瑞々しい初夏の頃でなければならなかったりもする。
傾げた首と垂れ下がった髪を見詰めながら、私の目の前でじっと動かない人形の静けさと過ぎてしまった時間を噛みしめていた。
古い新潮文庫の堀辰雄を手許に手繰り寄せる。菜穂子や燃ゆる頬、聖家族を読み直してみたくなった。