(続き)
デニムのロングワンピース。商品名はジージャンだったのだけれど。
古着屋の店先にジージャンが掛かっているのを見ると足が止まる。色褪せた青いデニムの美しさ。しかし、自分には似合わないことを若い頃から知っている。年配の人でも、小柄な人であっても、似合う人は似合っているのに。今では専ら人形用のワードローブとして眺めている。
今日のデニムは濃紺だから、クッションドールの彼女ですら、用心が必要だ。できるだけ素肌に触れないように、白いブラウスを下に着せるつもりだった。それが、あれこれ探している内に、 " Delicate and luxurious shadows" 20190728 で夕珠に着せた白いレースに行き着く。着せ始めて、それがワンピースではなくオールインワンタイプのものである上に、下がショートパンツ丈であったことに気づく。外れかけていた襟刳りのゴムのことも思い出して、一か所だけ糸で留めることにした。
針に糸を通すのが難しく、手も震える。手先が器用だった若い頃とは、もう別の人間になってしまった。何もかも違って生きているのに、美しいと思うものは、然程変わらない。分厚いデニム生地と繊細なレースの組み合わせ。目で見るだけではなく、指で触れてみる美しさもある。
我が身に縁のない美しさに何故こうまで惹かれるのだろうか。