The quiet beauty of the doll

等身大の人形写真をメインにして。

Iris: Her loafers

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(続き)

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普段なかなか写せない足下を。
このローファー履きの美しい脚は、布と綿で出来ている縫ぐるみなのだが、そんな無粋を明かさなければ、若い女性の脚にしか見えないだろう。
美しい女性にローファーという組み合わせは、私の夢を紡ぐための安直な仕掛けに過ぎない。頭にあるのは高校生の頃。ちょっとばかしマシな格好をした生徒たちの足下はタッセルやコインなどのローファーだった。中学生の時と同じ白靴で過ごした私の目には、その輝きが眩しかった。
働くようになってから、ふと思い出して購入したのだが、足を入れてみて履き心地の悪さに驚いた。とりわけ冬の寒さが堪えた。おまけに私の足は甲が高いため、側面の縫い目がすぐに裂けてしまう。歩くと、外れかけた靴底がパカパカして、スリッパ履きのような音を立てた。メーカーを幾つか替えてみたのだが同じようなことが続いたのを覚えている。
以来、ローファーは見るだけ、眺めるだけの靴になった。あの頃の高校生は何もかも含めて好きで履いていたのだろうか。流行りを追い求めるための痩せ我慢だったのか。いろんなことを考えながらも、形への憧れは続いている。或いは、それを履いていた美しい人たちの記憶に拘っているという方が正しいのかもしれない。
黒いストッキングの上から履かせたモスグリーンのソックス。ローファーの真冬の冷たさを覚えていて、彼女にはそんな思いをさせたくないから_とでも、しておこう。