撮影したのは少し前になるのだが、
彼女の魅力的な掌を。
(続き)
一緒に写っているのは齋藤僚太氏の木口木版画「風を感じて」。
最初に思い浮かべた M.R.James の或る物語から、
深い森の描かれたこの版画の中の、湖水の煌きを思い出した。
撮影していたときはただ夢中になっていたのだが、
木口木版特有の精緻な詳細部分は撮れていないし、額装も未だ。
肝心のブログ掲載許可も得ていなかった。
"Blowin' In The Wind" を「風に吹かれて」と訳したのは誰だったのかな。
いつまでも出口の見えない悩みに対して
The answer is blowin' In The Wind と繰り返される歌が、
あの邦題のお蔭で、
伝統的な花鳥風月の範疇に組み込まれてしまった気がしている。
60年代から70年代にかけて、私が聴いていた歌の題名にも、
風の出てくるものが多かった。
風、ボクは風、風がなにかを、風をあつめて、埃風…
そう言えば、「風に吹かれても」という歌が欅坂にある。
あの人も、あの時代の、同じような空気を吸っていた一人なのだろうか。
手足の大きな女性に惹かれるのは何故なのだろう。
手足が大きければ、背も高いはずだから_というような
類型に当てはめているのかもしれないが、
小さな男の憧れの気持ちも多分に働いている。
大きな足で大地を踏みしめ
風に向かって両手を広げる姿の美しさ。
彼女の大きな掌を見詰めながら、
黒い森の頂きの上から遠くを見つめている女性の姿を思い描いていた。