一度断念したつもりだった納戸での撮影。
今回は北の窓に垂らした黒い布を少しだけ開き、
彼女を雨の日の光で眺めることにした。
ボーダー柄の所為か、
60年代から70年代にかけて活躍した
或る若い映画女優の面影が重なった。
(続き)
極端なショートカットにしているわけでもないのに、
あの時代のアイコンにもなっていた女優のことを
何故か今日の画像に重ね合わせてしまう。
最近のニュースは出来るだけ見ないようにしているし、
Twitterも文字だけのものは、ただただスクロール。
目に留まった美しい画像ばかり蒐めているつもりなのだが、
毎日が、どうしようもなく辛くて、
呆れるぐらい嫌なことばかりで満ちているのは私にも分かる。
SNSで拾い集めている美しい画像の大半は、媚の少ない美しい女性たち。
しかし、目が止まる美しいものは他にもあって、
人里離れた荒涼とした風景や大きな建築物。
光と影に満ちた繁華な都会の裏側。
映画「アルキメデスの大戦」の冒頭で、
撃墜された米軍パイロットを救出する飛行艇の場面が印象的だった。
ジャック・スマイト監督による「ミッドウェイ」にも
同様の場面があったのを覚えているからだろうか。
高校生の時に読んだ「見よぼくら一銭五厘の旗」を思い出してしまう。
全てのムーブメントに対して昔から
胡散臭さを感じてはいたのだが、
少し歳上の、学業優秀な人たちの多くが、あの頃、
金芝河の詩を読んでいたように思うのは、私の思い込みに過ぎないのか。
アカシアの雨がやむときに聞き惚れていたような世代も、
皆もう本当に鬼籍に入ってしまったのだろうか。
60年代から70年代のことを考えると
たった50年程の変化なのに
もの悲しい不思議な思いの底に沈んでしまう。