明け方、近くの路上で青い毬栗を見つけた。
アスファルトの車道や歩道には、それこそ無数に転がっていて、
暗がりの中でも青の鮮やかさが分かった。
夜更けの風の音を思い出し、秋の訪れを想った。
(続き)
今回の撮影時、実は、取り返しのつかない失敗をやらかしている。
詳細は記さない。
以前なら、この世の終わりのような気分になっていたはずだ。
しかし、それでも夜は明けて朝が来るし、
何かを食らって前へ進むしかない。
It's such a little thing to weep,
So short a thing to sigh;
And yet by trades the size of these
We men and women die! Emily Dickinson
50年ほど前に高田渡が「ブルース」という題で歌っていたのを思い出す。
泣くのも、溜息つくのも、詰まらない些細なことであるのに
その大きさを取りかえっこしながら
男も女も死んでいく_と彼は歌っていた。
原詩にもあるとおり、生きていくと言わないところに
彼が惹かれたのだと分かった。
悲しみに引きずられて毎日を過ごすより
少しでも美しいものを眺めていたい。
傷つくのを恐れて箱の中に収めていても
その美しさは誰のためになるのか。
人の目に触れずに、ただ時間が過ぎていくのなら
形として、この世に存在していないのと大差はない。
「夜目遠目笠の内」という言葉もあるが、
私の目は老眼が進んでしまい、カメラレンズのようには働かない。
暫くぶりに、もう一人の子も
あの白い函から出してみたくなった。
風が吹いて、いろんなものが零れ落ちてしまったとしても、
男も女も皆、生きていくしかないのだと改めて思う。