梅雨明けを聞いたら、
いつもの窓辺の光も何か違う輝きに見える。
彼女の装いも少しばかり変えてみた。
(続き)
ウィッグをシルバーグレイに換えたが、
この光に、このブラウスなら
ブルーラベンダーのままでも良かった気がしている。
しかし、そう感じるのは、彼女に対して既にイメージの固定化が
始まっているからなのかもしれない。
どうしても白主体の装いになるのだから、せめてウィッグの色ぐらい
選択の幅を持たせておきたい。
ブラウスは被りタイプ。
シリコンドールには不適だが、この子は二の腕の途中で分割が可能。
それがどれだけ着せ替えに便利か_今回実感することができた。
撮影場所まで運ぶのも両腕が無い分、軽くなるし、
どこかにぶつけるのではないかという心配も少なくなる。
彼女の掌中にある金色のものはプラスチック製の腕輪。
腕の分割部分を隠すために使用する。
二つある内のもう一方は、届いた時から割れていた。
(取り外しが容易なように、そうなっているのかと思っていたのだが。)
袖があるものを着せるつもりなので、差し当たって用のないものだし、
そのまま使っても、繋ぎ目を隠すだけだから、何も問題はない。
ウィッグの変更と共にこのストッキングも目を惹くに違いない。
色移り防止のための白いタイツの上から、
グレーベージュのストッキングを履かせている。
100 denier だから濃色のスカートを持ってきても大丈夫なのではと考えている。
或いは網タイツの使用も…。
白中心の装いという制約からは逃れられないものの、
頭の中では様々な色の組み合わせを考える。
実現できそうなものもあれば、そうでないものも。
ただ思い描いているだけでも、この子を前にしていると、
愉しさは一幕の夢のようだ。
ふと、高校生の夏に読みかけて挫折した或る小説を思い出した。
アメリカ南部を舞台にした複雑な物語。
今なら読み進めることが出来るかもしれない。
新訳もあるし、それよりも安価なペーパーバックでも構わない。